最近、イギリスに「孤独担当大臣」が誕生し、話題になっています。
2年前、イギリスはEU離脱の是非を問い、国民投票を行いました。その最中EU離脱反対派のジョー・コックス議員が、離脱を主張する過激派に暗殺されました。
ジョー・コックス氏は41歳の女性議員で、かねてから孤独が大きな社会問題であると訴えていました。
イギリスでは、約900万人の人々が孤独を感じ、その3分の1の人々が生き辛いという気持ちを抱えているそうです。孤独による健康被害は一日15本の喫煙に相当し、就労意欲の低下による経済損失も大きいと言われています。
精力的に議員活動を展開していたコックス議員自身も、実は深い孤独感を抱えていたそうです。
イギリスでは、コックス議員の遺志を継ぎ、まずこの問題を担当する大臣を任命し、国として「孤独問題」に取り組もうとしているのです。
さて、孤独とは、どういう状態を指すのでしょう?
時には孤独になって、自分を取り戻したいという、必要範囲の孤独もあります。
でもここで問題とされるのは、自分を苦しめる孤独です。
一人暮らしだから孤独?でも大勢の中にいても、孤独を感じることはありますね。
誰とも心を分かち合えない、誰にも認めてもらえない、自分の価値を感じられないなどを感じ、徐々に「自分」が消えていくような感覚になる、これが孤独の大きな問題ではないでしょうか?
この怖い感覚を押しとどめようとして、酒やギャンブルなどの刺激に頼ることもあるかも知れません。それらの刺激は一時的なものに終わり、孤独の問題はますます深くなります。
孤独の問題は、一人で取り組むのではなく、人と分かち合うことでしか改善しません。しかし、その方法も手立ても分からなくなってしまうのが、この問題の難しさです。
カウンセリングに来られる皆様も、それぞれ抱えた個別の問題の底に、この孤独の問題が大きく横たわっていると思います。