「自分が減った」状態は不安なもの、お金が減って行くのと似ています。
お金を増やす方法は、いろいろありますね。でも減った自分を増やす方法は、なかなか見つからないものです。
精神を鍛えられそうな本を読む、目標を立てて努力する、修行するなど、ひたすら自分が頑張らないといけないことばかり思い浮かびます。でも、自分が減っているときは、このような努力自体苦しいものです。
それでも頑張って努力したとしても、果たしてこれで自分が増えるでしょうか?多分、努力したことで多少不安は和らいでも、一時的なものに終わるでしょう。
自分とは「自らの分」と書きますが、人との関係の中で、自らの分は増えたり減ったりしているからです。人と関わる中で「自らの分」を増やさない限り、自分は増えることはないのです。
そういえばお金を増やすのも、働いて給料をもらったり、ものを売ったり、投資をしたりと人との間でやり取りがあってのことですね。「自分」とお金はこのように、人との間で動いて増えたり減ったりする似た者同士です。
ところで、共感という言葉がありますが、これは自分と人の思いが重なり合うことで、共感することで人と人はつながっていきます。白い部分と黒い部分が重なり合うと、グレーの部分ができますね。共感はこのように重なり合ったグレーの部分、自分と他者との間に存在する第三の領域です。
実は、このグレーの部分を増やすことが、自分を増やすことにつながります。
自分が減った時は、このグレーの部分、つまり他者との間の共感し重なる部分はほとんどなくなっています。グレーの部分がないと孤独で、自分を責めたり周りを責めたりして、さらに自分が減っていきます。
そこで自分に寄り添うような共感が得られると、重なり合ったグレーの部分が少しずつ出来てきます。それにつれて、自分を責めたり人を責めたりする苦しい思考から解放され、お互いを認め合う思考へ変わって行きます。こうなって初めて、自分の気持ちを大切にし、自分らしい生き方を探ることができるようになります。
つまり、グレーの部分に支えられて自分らしい人生を送ることができ、それがさらに自分を増やしていくという良い循環ができるのです。
このグレーの部分、第三の領域は、自分であって自分でない部分と言えます。グレーの部分は一人では作れませんし、また誰とでも作れるものではありません。
このグレーを探し求め作って行くことが、私たちの人生の歩みそのものと言えるかも知れませんね。