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自分の輪郭

 

 ものには輪郭があるから存在が分かるもの。私たちにも輪郭があり、自分と外を分けています。これは私たちの心についても同じです。輪郭があることで、これは人の考え、これは自分の考えと判断しています。この輪郭がぼやけてくると、人の考えと自分の考えの区別がよく分からず、どれも正しい意見のように思ったりします。日頃から、人の考えに頼っている場合は、自分の輪郭はほとんど存在せず、頼っている人の輪郭に自分を重ねているだけかもしれません。また、自分に自信がなかったり、否定的な気持ちが強いと、自分の考えがなかなかまとまらず、輪郭がぼやけた状態になります。自分の考えか、人の考えか区別がつきにいため、決めることができない苦しい状態です。

 

この心の輪郭は最初から存在していたわけではありません。子供の頃、日々湧き起こる感情を受け容れられると、安心感が得られます。これが、輪郭作りの始まりです。安心感を持ち、自分の意志や考えで行動するうちに、輪郭が少しずつハッキリしてきます。

 

輪郭作りがうまくいかず、輪郭がぼやけている場合、いつも不安で自信がなく、周囲を基準にものごとを考えるようになります。また、輪郭がいったんできていても、自分を否定されるような環境におかれると、安心感が乏しくなり輪郭がぼやけてきます。

 

このように、心の輪郭は周囲との関係で明確になったり、ぼやけたりするもので、自分一人で何とかできるものではありません。とは言え、最終的に輪郭を作るのは私たちです。私たちにできるのは、自分の内なる声に耳を傾けものごとを決めて行くという、人生の課題を忘れないことではないでしょうか。