今を生きるということは、新型コロナと共に生きること、そんな時代になりました。
人々が親密になる状態は避けて、ソーシャル・ディスタンスと言われる距離を取ることが求められています。これは約2m、互いに手を伸ばせば届く距離ですが、小さな声で話すと聞こえにくいので、親密とは程遠い状態となります。
その他にも、人が集まる場ではマスクを着用し、入り口では手を消毒、もちろん家に帰れば丁寧に手洗いすることなど、コロナ対策のため、新しい習慣がたくさんできました。
社会は信頼関係に基づいて成り立っています。そこに、コロナという異物が入り込んだために、信頼関係を維持するための新しい習慣やルールが必要となったわけです。
以前のような、あうんの呼吸で分かり合える関係が難しくなり、インターネットなどで関係をつないでいく工夫が必要とされます。外に出ないで一人で過ごす時間も増えました。
そんな今は、自分と向き合う千載一遇のチャンスかもしれません。
これまでは、日々のスケジュールをこなして一日を終えることに疑いを持たなかった私達です。その繰り返しが、果たして本当に自分の望むものだったのか、考えてみるいい機会です。逆に、それがいかに自分にとって大事なものか、痛感させられることもあるでしょう。今まで読めなかった本を読んだり、不用なものを整理してみたり、人間関係を見直したりと、やろうと思えばいろいろなことができそうです。
その中でもお勧めしたいのが、これまでの人生の歩みを振り返ってみることです。自分がその時々で、どのような思いでどのように生きてきたのか、日頃は顧みることの少ない自分の人生を丁寧に振り返ってみませんか。
振り返った結果、ほぼ満足する場合もあるでしょう。後悔することがたくさん出て来て、これまでの人生を肯定するには至らない場合もあるかもしれません。思い通りにならないことを抱えて、焦りや不安が多い人生だった人もいるでしょう。ともすれば、そんな自分をけなして否定する気持ちになっているかもしれません。
しかし、現在のコロナの情況のように、自分の思い通りにならないことが人生では非常に多いのです。そんな山あり谷ありの人生を、精一杯生きてきた自分がいるはずです。
なぜか、自分では自分をけなしてしまうことが多いのが私達です。自分をけなすと、その感情を外に出すために、誰かをけなしたくなるものです。これが続くと、だんだんネガティブな感情に支配され、人生が面白くないと感じられがちです。
思い通りの生き方でなかったとしても、けなさないで、一所懸命生きて来た自分を見つけてやることが大切です。自分を認め、ひいては人を認めるとこれまでの人生が違って見えてきます。
コロナで人とのふれ合いが難しいこの時期に、改めて大切な自分とのふれ合いを試みてはいかがでしょう。