昔、こういう題のフランス映画がありましたね。美しい音楽に乗せて展開する、大人の男女の恋愛映画です。
人間は男と女の2種類、そう私達は信じて来ました。しかし、そんな単純なものではないことが科学的にも明らかになってきています。
男と女の間はスペクトラム、つまりあいまいな境界を持ちながら連続した状態で、明確な境界はないということが分かってきたのです。男女の象徴である性器も様々な形状があり、男性とも女性ともつかないものも含め典型的な形だけではないようです。
しかし、私達は社会的に求められる男性性、女性性のイメージをいまだに心の中にもっており、それに合わせて行動したり、人を評価したりしがちです。ところが、性に関する内的な欲求は、単純にこの二つのパターンに当てはまらない場合が多々あるというのが現実なのです。身体的にもスペクトラムな状態で境界がないのですから、精神的にもスペクトラムで境界がない多様な状態が存在しているはずです。LGBTの人達の身体と性が一致しないという悩みも、男女の境界はないということが分かれば納得できます。
現在の社会が抱えている大きな問題は分断です。貧富、人種差別、宗教など、様々な分断がありますが、男女の分断も大きな問題ではないでしょうか。
男らしく、女らしくという価値観を押しつけ合うばかりでは、男女は分断され、対立につながります。相手の個性を尊重し受け容れることができれば、男女は関係なく融和することが可能なはずです。男らしさ女らしさも、その人の個性として受け入れるわけです。
そのために、まず男女の枠をはずして自分や人を考える習慣を作る必要があるでしょう。書類によくある男女の性別欄もいずれなくなるかも知れません。
でも「男と女」の映画のように、相手を求め開かれてゆく心と心が織りなす恋の醍醐味は、きっと変わらないでしょう。