最近見たテレビ番組「ヒューマニエンス」で腸のことを改めて知り、衝撃を受けました。
私達は腸からできている!考えれば確かにそうですね。外から食べ物を取り込んで消化し、エネルギーを作る。残りかすは排泄する。日々この繰り返しです。それを主に担っているのは、腸です。
水辺に棲むヒドラという生き物は、ほぼ腸だけでできていて、脳も心臓もありません。ひたすら食べて排泄する、餌を見つけることもすべて腸が行います。
腸に始まり、その後脊髄ができ、脳ができたのが脊椎動物で、私達人間もその一例です。
そこで驚かされたのは、脳と腸の神経やそれを伝達する物質が、区別がつかないくらい似ていることです。すべての指令は脳からでていると思い込んでいる私達ですが、実は腸で感じ考えていることが多いのかも知れません。
心が虚しく辛い時、心が空っぽになると形容しますが、まさにお腹が(腸が)空っぽになるのと同じ表現です。空っぽの心を埋めるため、猛烈に食べるやけ食いで心の穴を埋めようとすることもあります。逆にお腹が空っぽだと、ひたすら食べ物やその味が心に浮かび続け、それ以外は思考停止してしまいます。
人間にとって食べるということは単なるエネルギー補給ではなく、心の在り方と結びついているのです。
人と親しくなろうとする時は、一緒に会食し、同じものを食べるという行為をします。同じ食べ物を腸に入れて満足するという体験は、私達の心身に大切な記憶として残ります。
幼少時、家族で同じ食卓を囲み、同じものを楽しく食べた体験は腸と脳に刻み込まれ、私達の身体と人格の土台を作ってくれるでしょう。このような体験が乏しいと、身体も含めて自分に自信が持てず、自分を好きになれないことがあります。人生にとって深刻な影響です。
ともすれば脳が中心で他の器官は従属物と思いがちな私達、そうではないという発想の転換が必要ですね。毎日の腸の体験を大切に生きることが、毎日の勉強や仕事と同じくらい大切なことだと改めて思います。