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親子になる

「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」

有名なボーボワールの言葉です。いわゆる「女」と言われる存在が、いかに社会的な規定によってできているか、鋭く見抜いた言葉です。

タリバンの兵士が「男は女の2倍の価値がある」と語っている映像を見たことがあります。何を根拠に?と呆れますが、彼はそのような価値観を植え付けられ、疑うことを知らなかったのでしょう。

ところで、親子についてはいかがでしょう?

親のもとに子供が産まれたら、法律上は親子になりますが、そこで親子関係ができるというものではありません。

親は子供を守り養育し、規律を教え、教育を与え、社会で生きて行けるよう、見守り育てます。子供は、親に守られ養育される中で、自分の興味や生き方を見つけようと努力します。親も子も、日々努力し、時間をかけて親子関係ができて行くのです。

そこには、自然な投影が起こっています。親は、子供に対し、小さな存在にたいする愛おしさ、成長への不安や期待などの気持ちを投影し、子供は、安心感・優しさへの期待、成長したい欲求などを親に投影します。この投影が互いにうまく取り入れられれば、望ましい親子関係につながるでしょう。

しかし、例えば親の中に強い不安や怒りがある場合、それが子供に投影されます。子供が泣き叫ぶと、自分を困らせ苦しませているように感じます。子供の不安より、自分の不安をまず感じて投影し取り入れてしまうのです。子供は親に不安を投影しなだめてもらいたいのですが、さらに不安になります。

また、親が自分の不安や愚痴を子供に言って聞かせると、子供は聞き役になり、自分の不安を言えなくなります。このように不安が特に親の側に存在していると、健康な双方向の投影ができなくなり、親子の関係が逆転してしまいます。そして、健康な子供時代を送れなかった子供は、大人になって空虚感や自信のなさに苦しむことになります。

 

強い不安を抱えたのは個人の責任ではありませんが、それを解決していくのはその人しかできません。個人で抱え込んだり、家族に一時的な解消を求めず、一緒に向き合ってくれる人や場所を求めましょう。不安が解決すれば、きっと自然な愛情が湧いてきて、良い親子関係を作って行けるはずです。