「自分のことは自分が一番良く分かっている」とは、よく聞く言葉です。しかし、果たしてそうでしょうか?
第二次世界大戦下では、お国のために、天皇陛下のために戦うのが正義と信じていた人が、敗戦とともに個人の人権や平和の大切さを信じるようになりました。どちらも同じ自分です。
このように正反対のことでも、情況次第で信じるのが自分です。ここで深く反省して、戦争とは何か平和とは何か、国家とは個人とはと考え、自分なりの思想を構築すれば、情況が変わってもあまり自分の考えは揺れ動かないでしょう。こうなると、自分をかなり分かった状態と言えるかも知れません。
私達は身近な人の評価に左右されます。幼い頃から、親が自分を評価せず、けなしてばかりいたら、自分を否定する気持ちは強くなるでしょう。この自分を否定する気持ちは、本来の自分から発生したものではなく、親から取り入れたものです。
取入れの根底にあるのは不安感です。認めて欲しいのに否定される不安、それは自分が悪いからだという考えにつながり、さらに自分を否定するようになります。
このように、周囲の情況や大事な人との関係によって、自分に対する認識は左右されます。自分に対して否定的に考え、苦しい気持ちを持つ時は、本来の自分の考えではなく、周囲から押しつけられた可能性があります。大事な存在から押しつけられているので、自分の考えとして取り入れてしまい、その結果、ずっと否定的な考えに悩まされるようになるのです。
否定的な考えを持つと自分を受け容れられないので、生き辛さを抱えるようになります。
自分を肯定するのが、本来の自分です。押しつけられた考えを排除して、自分を肯定し、周囲との信頼感を構築できれば、その時こそ生き生きした本当の自分が分かるでしょう。