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自分をプロデュース

自分の一生がどう展開するかは、最後まで分かりません。その中で、最後まで自分をプロデュースし続けるのが、私達の人生です。

自分をプロデュースするなら、自分をよく知らないとうまくできないでしょう。私達は、ある日この世に一人で産み落とされます。その日から自分の謎を解いて、自分を知っていかないといけないのです。

自分を知る手がかりは、まず、自分に向かって投げられる、親や他の人々の視線や言葉や行動です。普通、自分は大事な存在のようだと感じることが多いでしょうが、中には自分の存在は疎まれているようだと感じるような不幸な例もあります。最初にここで安心感を得るか、不安感を得るかは、その後の人生を大きく左右します。

次に自分を知る大きな手掛かりは、自分と比較するような存在と自分を比べることです。そこで、自分の特徴や得意なこと、願望や意欲などが段々分かってきます。比較しながら分かるということは、羨望、嫉妬、喜び、愛着、寂しさなどの感情が伴うことで、このような感情の存在も分かってきます。感情のおかげで生き生きする一方、感情をコントロールするのは、なかなか困難なことでもあります。

自分を分かって行く上でさらに大事なことは、自分が考え感じたことを人と分かち合うことです。普通は身近な親や家族などと、自然と分かち合えることが多いものです。分かち合いができなかったり、価値観を一方的に押し付けられたりすると、自分を分からないまま周囲の価値観に合わせた自分を作ろうとします。

周囲の価値観に合わせることで、周囲と分かちあえることを望んでいるわけですが、相手に合わせた表面的な分かち合いしか起きないので、奥にいる自分はいつまでも孤独です。

自分を知るため、本を読んで自分の心の構造を知って行くことは可能です。しかし、それを自分のものにするには、やはり分かち合いが必要なのです。

 

共感的で暖かい分かち合いがあれば、人は自分を理解し認めることが可能です。自分を理解し認めていれば、自分を適切にプロデュースして行けます。プロデュースの結果がどうであっても、自分を責めないで冷静に評価して、また前に進んでいけるでしょう。