人の行動は「~だからそうした」と語られがちです。例えば、経済的に恵まれなかったので、進学しなかったなどです。周囲や社会の状況のため、そのような行動の決定がされていると考えられがちです。
そのような要因があったとしても、行動を決めるのは人の心です。
経済的な問題はあっても進学を熱望したが、支援がうまく受けられなかったとか、進学にこだわらず社会でスキルを身に着け、親から自立しようとしたとか、一人一人の心は違います。周囲の状況からやむなく行動を選択しているようでも、受け止めて選択するまで、心は迷いつつ打開策を模索したり、落ち込んだりと揺れ動くものです。
しかし、その心について語られることはあまりありません。本当は、周囲や社会の問題と同じくらい、問題と対処している一人一人の心を大切にしたいものです。
心が大切にされないどころか、心を無視して、周囲が周りの状況に合わせることを強要したり、自分でも心を抑えて周囲に合わせてしまっていることがあります。このようなことが続くと、次第に自分の感情が良く分からなくなります。いわば心を見失った状態です。
心を見失うと、いつも不安で自信がなく、何かに頼ったり依存して生きるようになります。心を見失うとは、自分を失くしたようなもので、その人にとって危機的な状況と言えます。
心を見失わないよう、いつも自分の心に問いかける、社会も心を安心して表現できる場所を用意するなど、心がいつも中心にある生活・社会を目指したいものです。