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感情の成長

私達は日々移り変わる、たくさんの感情と共に生きています。好き、嫌い、喜び、悲しみ、哀れみ、怒り、憎しみ、妬み、虚しさ、恐れ、不安など。大きく分けると、ネガティブな感情、ポジティブな感情になりますが、哀れみのように、どちらともつかないものもあり、感情の世界は奥行きが深いものです。

子供の頃、まだ自分が不確かな存在で、世界が謎に満ちている時は、怖れや不安が強く、保護してくれる親や周囲に依存しながら、徐々に安心感を得て行きます。しかし同胞とは、自分に近い存在という安心感だけでなく、親などの保護者を奪い合ったり競争して、時に妬みや怒りが湧きます。また食べ物を始め、受け容れられないものも多々あり、好き嫌いの感情が湧きます。

このように、常に湧いて来る感情ですが、その中でもネガティブな感情が湧くと苦しいものです。怒りや妬み、憎しみなどのネガティブな感情を持つと、思わず行動に移して相手にぶつけたくなります。これを避けようと自分を抑えて心に抱え込むと、苦しく、気分はうつうつし、そんな自分が嫌になります。ネガティブな感情とどうつき合うかは、人生の大きな課題と言えます。

両親が仲が悪いなどで、家庭内にネガティブな感情が満ちていると、子供達はいつも不安で緊張感があり、生きる意欲も低下します。子供の感情を受け止める役割の両親には、そんな余裕がなく、子供達は自分で抱えて行くしかないのです。このように、ネガティブな感情が放置されると、解決しないまま周囲を巻き込んでいきます。

感情は相手に触発されて生じたとしても、その感情は自分のものです。苦しくても感情と向き合っているうちに、少しずつ落ち着いたり変化したりするものです。ネガティブな感情と向き合うには、気持ちを信頼できる人に聞いてもらったり、相手と話し合ったり、逆に相手と距離を取ったりと、一人で抱え込まない工夫が大事です。

 

このようにして自分の感情と向き合っていると、少しずつ感情が成長し、ネガティブな感情よりも、お互いを肯定するポジティブな感情が増えてきます。子供が大人になって行くと、自然と感情が落ち着いて来ると思いがちですが、日々感情と向き合ってこそ、成長し落ち着いて来るのです。