堅苦しくて融通が利かない人、なかなか話が通じにくい人に、たまに出会いますね。まるで「ヨロイを着ているような」印象です。
ヨロイは、武士が戦場で自分を守るため身に着けるものです。武器を通さないよう、金属など硬くて重い素材で作られているので、普段は着ることがありません。例え心の問題にせよ、この重くて厄介なヨロイを普段から着ているとしたら大変です。
もちろん、生まれた時からヨロイを着ていたわけではありません。ヨロイを着るには、それなりの自分を守る切実な事情があったのでしょう。一方的に相手の都合を押し付けられたり、暴言、暴力、無視など、傷つけられることが続くと、自分を守るためにヨロイを着るしかなくなります。ヨロイを着て自分の感情を抑え込み、情況に適応しようとするのです。
こうしてヨロイを着ていることが当たり前になると、それが自分の個性のようになります。周りから見ると、いつも正論を言うが押しつけがましい人、あまり感情を出さないが、時々怒りを出す人、他者のことは批判を交えてよく語るが、自分のことは語らない人など、つき合いにくい印象です。本人も不自由を感じて苦しいはずですが、どうやってヨロイを脱いだらよいのか、分からないのです。
実はヨロイの下には、たくさんの傷があって、いまだに癒されていません。本当はそれを分かって欲しいという気持ちを抱えて来たのです。考えれば、ヨロイを必要とするのは戦場です。戦場のような世界にいて、苦しんだ結果のヨロイなのです。
長年着続けた心のヨロイは、自分の一部のようになり、簡単にはずすことができません。はずすには、ヨロイの奥にいる傷ついた子供のような自分を発見し、向き合ってやることが必要です。子供を癒したり、なだめたり、誉めたり、一緒に遊んだりと、できることは何でもして寄り添ってやりましょう。一人で難しい時は、一緒に手伝ってくれる人(専門家など)を探しましょう。
子供が安心するにつれ、ヨロイがだんだんはずれてきます。自分で作ったヨロイに閉じ込められていた自分を、今度は自分が解放するのです。