紫式部が源氏物語に「物語の出て来はじめの祖」と書いた、日本最古の物語です。
竹の中にいた小さな女の子が、竹取の翁と媼に育てられます。成人して光り輝く美しい女性(かぐや姫)になり、貴公子たちの求婚を受けます。かぐや姫は、5人の貴公子に自分の指示する宝を探してくるように言いますが、誰もそれを達成できません。ついに帝が求愛しますが受け付けません。そして、自分は罪を犯して月から来たので、8月の十五夜に許されて月に帰ると語ります。阻止しようと帝の軍勢が囲む中、迎えが来て月に帰って行きます。
物語としては、大変面白くできています。竹から生まれるという奇想天外な幕開け、無理難題の宝探しを言われ振り回される貴公子たちの可笑しさ、罪を背負った月の人という意表を突いた設定、そして月からの迎えと、想像を超えて次々と展開します。
さて、私は物語を離れ、どのようにすれば貴公子たちが、かぐや姫の心を掴むことができたのか、考えてみました。
無理難題の課題を出すのは、かぐや姫自身が解決できない大きな苦しみを抱えていると考えることができます。そのように課題を読み替えて、苦しみを共有し手助けしたいと伝えるのです。
これは難しい宝探し以上に本気と覚悟が問われます。かぐや姫が応じてくれるか分からなくても、見返りを求めず気持ちを伝え続けることが必要です。
地球に流されるほどの罪を背負った人に、心を開く安心感を持ってもらうには、変わらず相手を思い続ける気持ちが必要だからです。かぐや姫が表面的には応じなくても、見返りを求めず相手を思う気持ちは、必ず相手に届き孤独な心を癒すはずです。