子供であること

子供は、単独には存在できません。子供は大人あっての存在、逆に大人は単独でも存在できます。子供は大人から生まれ、大人と共に存在するのです。

子供は、生命を維持するための食料や水を提供され、安全を確保され、大切に見守られることが必要です。身近な大人の在り方が、子供の運命を左右します。

子供を生活の中心として見守り、常に安心感と愛情を届ける大人の存在は、子供の健やかな成長を促します。大人がいつも自分の不安や欲望に囚われていると、子供は大人の従属物になり、大人の不安や欲望に翻弄される存在になります。戦争のように、いつ大人や安全を失うかも知れない環境も、子供の運命を翻弄します。

このように、不安や欲望をコントロールできない大人や、脆弱で危険な環境など、大人としての機能や安全が存在しなかった場合、子供は多くの痛みを味わい、多くの傷が残ります。子供は大人に分かってもらわないと生きて行けない存在なので、痛みや傷を抱え込むしかないのです。

抱え込んだ痛みや傷は手当して癒されない限り、いつまでも消えません。いつもどこか不安で、自分を否定する気持ちを抱え、生きることを楽しめないのです。

このような状態でも、子供の身体は大人になって行きます。しかし、傷ついた子供はそのまま大人の内側に存在し続けます。

 

考えてみれば、完璧な大人、完璧な環境はありませんから、私達の内的な子供は多少とも傷を抱えているかもしれません。それを安心して語り、共感して受け止め合うことが日頃からできるといいですね。深い傷を抱えた内的な子供に対しては、年齢は関係なくケアしてもらえる場所が必要です。