土俵

大相撲では、土俵の大きさが決まっています。

直径4,55m。大きな力士達が上がると狭く見えます。その土俵から少しでも出たら負け、土俵内で足の裏以外が土俵についても負けです。

古墳時代の埴輪には、すでに力士の姿が形作られており、相撲には古い歴史があります。力士の姿は現代と変わりません。昔から、太って腹が出たあんこ型体型で、今と同じように裸でまわしをつけていたようです。

その姿で力士達は、狭い土俵の中で、ぶつかり合い、組み合い、力と技を駆使して戦います。試合の時間はわずか数秒から数分、短いながら白熱し見ごたえのある試合もあり、力を出せないまま、あっけなく終わる試合もあります。狭い土俵の制約があるからこそ、短時間でも攻防のある展開になるのでしょう。

私達も、それぞれの生きる場として、いわば土俵を持っています。家庭の土俵、学校の土俵、職場の土俵など。

家庭の土俵はまず両親が作ります。世間の価値観と両親の価値観をすり合わせた土俵です。その中で、それぞれの役割をこなしながら、互いを重んじ、時にはぶつかりながら、楽しく自由に自分を発揮する場が土俵の中になります。

この土俵がうまくできないと、世間の価値観がそのまま土俵になったり、両親の欲求が土俵になったりして、土俵はいつも不安定で家庭を守ることができません。これは、学校や職場などの集団でも同じです。

土俵が明確でない場にいると、いつも不安で、自分を守ることに終始します。その結果、自分の本来の欲求がよく分からないまま、周囲に合わせる生き方になりがちです。存分に自分を発揮し成長するには、まず安心できる土俵が必要なのです。

 

相撲の丸い土俵には、徳俵というちょっとはみ出すことができる場所もあります。家庭や集団の土俵も、各メンバーに合わせ、ちょっとはみ出し部分があったり、柔軟性があることが大事です。