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「この空を飛べたら」は、1978年に加藤登紀子さんが歌った曲です。作詞作曲は中島みゆきさんが担当し、中島さん自身も歌っています。
この曲は、半世紀近く経った今でも、根強く支持され歌われています。
歌詞は次の通りです。
「1.空を飛ぼうなんて悲しい話を いつまで考えているのさ あの人が突然戻ったらなんて いつまで考えているのさ 暗い土の上に叩きつけられても こりもせず空を見ている 凍るような声で別れを言われても こりもせずに信じてる 信じてる ああ人は昔々 鳥だったのかもしれないね こんなにも こんなにも 空が恋しい
2.飛べる筈のない空 みんなわかっていて 今日も走ってゆく 走ってく 戻らないあの人 私わかっていて 今日も待っている 待っている この空を飛べたら 冷たいあの人も 優しくなるような 気がして この空を飛べたら 消えた何もかもが 帰ってくるようで 走るよ ああ人は昔々 鳥だったのかもしれないね こんなにも こんなにも 空が恋しい」
一見、失恋ソングですが、いろいろな見方ができる歌詞です。
叶わなかった願い、愛情を注いでくれない相手(恋人に限らず)を、それでも信じ続けようとする切ない心。
努力しても変えられないものは、この世にたくさんあります。特に人間関係において、相手の気持ちを変えることは困難です。愛情がさめた恋人、自分のことで精一杯で子供の方を向けない親など。特に子供の場合、親を信じるしかないという状況にいるので、より切実です。
空を飛べたらとは、奇蹟が起こったらということでしょうか。そして、何もかもうまく行きそうな空という別世界に憧れ、この空を飛べたらと思うのです。
人が生きることは、数々の不条理に出会うことでもあります。自分には愛情が必要なのに、相手の気持ちを変えることはできない、この不条理は人を打ちのめします。
この歌は不条理に打ちのめされながら、空という不条理を越えた世界を恋い信じる歌でもあります。生きる辛さも願望も、さまざまなものを呑み込んで、私達に寄り添ってくれる歌と言えるでしょうか。