子供を生きる

私達が生きているのは、今この時です。まだまだ将来があると考えることはできますが、将来が確実にやって来るかは分かりません。私達は、今この時の連続を生きて行くのです。

でも今の私は、本当はいつの私でしょうか。

実は、小さな子供の時の私のまま生きていることもあり、思春期の私のままのこともあり、年齢相応の私のこともあります。

私達は、人生の中で大きな不安や喪失を経験することがあり、そこで自分を支えきれないまま、歩みを止めてしまうことがあるのです。

例えば、小さな子供は、周囲の大人たちに守られ、養育されることが必要です。大人たちにその器がなかったり不在だったりして、十分守られず養育されなかった場合、心の奥に強い不安感や空虚感を抱えたまま、身体だけは成長します。

つまり、子供の時に抱いた不安感や空虚感を持った、子供の心のままで生きているのです。この状態では、周囲の顔色をうかがうことが先行し、自分の欲求を出すことができません。子供のままと言っても、無邪気に欲求を出すことはできないのです。周囲への信頼感・安心が乏しく、いつも孤独感を抱いています。

そんな子供の心で、大人としての今を生きるのは、とても辛いものです。周囲の情況をうかがい、不安を抑えて何とか適応しようとします。これも、不安を抱いた子供の時のままです。こうして、長年抱えて来た不安や空虚感に、人生を振り回されてきたと言えるでしょう。

 

不安や空虚感を抱えてきたのは、自分の責任ではありません。不安感や空虚感と向き合って、手放すことが出来れば、安心感のある情況を作っていけるのです。