
白か黒か、この二つのどちらかしかないという事態は、時々起こります。運動会で、赤、白に分かれて戦うなどが、身近な例です。
こうして明確に分かれてしまうと、人は帰属意識に捉われ、味方の活躍に熱狂し、相手を激しく攻撃します。最近よく言われる現代社会の分断も、このような現象を生んでいます。
スポーツの試合などではよくあるにせよ、これが日常的になると問題です。分断が、国家や民族、人種、宗教、思想などで起こり、対立・抗争することが、世界中で起こっているのです。
どの集団に属しているかは、どの親から生まれたかと同様、人間にとって大事な要素です。しかし、集団への帰属意識ばかりでは、それ以外の集団や社会にどう対処していいか分かりません。何かあれば、対立・抗争につながりかねないのです。
帰属意識を越えて人が成長するには、他者を知り自分を知って行くことが必要です。
小集団としての親子関係の中でも、親子で違う部分が必ずあり、親に子が従うばかりではなく、互いに認めて行くことが大事です。時には親がその部分を否定してくるかもしれません。そこで起こる葛藤から逃げないで生きることが、自分を育てていくことになります。
この時必要なのは、相互の信頼関係です。この信頼関係が乏しくなっているから、現代の分断・対立が起きているとも言えます。
帰属意識にばかり頼るのは、成長の逆方向ですから、さらに対立が加速します。互いを深く知ることで、それを越えた信頼関係へ進みたいものです。