一人二役

一人二役は、芝居や映画などで時々出て来る配役です。双子の兄弟姉妹や、親子を同じ役者が演じたりします。

また現実には、人手不足のため、全然別の仕事を同じ人が引き受けたり、大谷選手のように、投手と打者という別のスキル(しかも高度の)を要するポジションをこなしたりと、時折見受けられるものです。

大谷選手のように両方に素晴らしい技術を発揮できることもありますが、あくまで例外と思われます。人は自分の形(アイデンティティ)を作りそれをベースにして行動するので、いくつもの形を作って使い分けるのは難しいものです。このアイデンティティが十分にできていない時期の若者は、行動にも迷いと不安がつきまといます。

ところで、子供の頃、一人二役を経験する人は意外と多いものです。

両親が不和や病気、不在などで家庭を運営できず、子供が親の役と子供の役を同時に引き受けることがあります。この場合、親の役割を優先せざるを得ないので、子供の役は後回しになり、子供としての感情は抑え込まれます。

また、親が感情的で、子供は親の顔色ばかり見ている場合も、子供は子供の役ができず、自分の感情を抑え込みます。

この、抑え込まれた子供の感情は消えることなく残り、その後の人生を支配します。

子供時代、親の役割を取っていた人は、その後も人の世話役ばかり引き受けて、有難がられるものの、満たされない感情、虚しさが残ります。

親の顔色ばかり見ていた人は、大事なことを決める時にも、周囲の感情を優先してしまい、自分の感情は取り残されてしまいます。

自分らしい人生を送るには、子供の頃から抑え込んだこの感情を、取り戻すことが必要です。自分の感情を抑えず表現できる場所や人を探して行けば、本来の自分、主役の自分が復活して来るでしょう。